M&Aとは
M&Aとは「Mergers」and 「Acquisitions」の略
カタカナ:「マージャーズ」アンド「アクイジションズ 」
日本語:「合併」と「買収」
「Mergers」は複数の企業が一つになる「合併」
「Acquisitions」は企業の「買収」
通常M&Aという場合は、様々な手法(株式交換、株式転換、増資引受、会社分割等)を用いた合併・買収・経営統合に加えて、特定の事業譲渡や資本提携(業務)提携までも含めた広い意味での企業間提携の総称として用いられます。
M&Aは、合併・買収、さらには事業分割・統合なども含んだ、企業の総合的な事業の一環として行われます。
M&Aの背景
M&Aのイメージはここ数十年で180度近く変わっています。M&Aは、劇場型の敵対的買収や「乗っ取り」の代名詞で資本の力で無理やり相手を服従させるようなイメージが先行しいました。
M&Aが浸透している背景としては2つの理由があげられます。
1.M&Aを経営戦略として活用
日本企業を取り巻く競争環境が激変する中で、企業を存続させたり、競争の優位性を維持強化していうためにM&Aが必要となっている。M&Aや企業再編を活発化させ、多くの企業がM&Aを経営戦略の一つとして位置づけています。
2.後継者問題
中小企業の経営者の高齢化が急速に進行し、さらに少子化の影響も重なり、後継者が見つからないという問題が年々高まっています。また、単に後継者がいないのだけでなく、後継者がいても個人の財産を基盤に事業を承継していくことを躊躇することがあり、将来の競争激化も見据え大手企業グループの傘下に入るなどオーナーチェンジを選択する経営者の増加しています。
M&Aの手法(スキーム)M&Aにはどのような種類があるのか
M&Aのスキームは事業の選択と集中および多角化の中で多様に分類されます。
株式譲渡
売り手企業の株主から株式を買い手に譲渡し、買い手企業はその株式の対価として現金を支払います。売り手企業の株主との取引となるため売り手企業に現金が入らず、株主が対価を得ることになります。
株式譲渡とは譲渡する側のオーナーが所有している発行済株式を譲る受ける側に売却することによって子会社になることです。
- 株主や経営者が変わるだけで、従業員や社外の関係が変わらない
- 特許や許認可などは基本的に存続する
他の手続きよりも、比較的簡単な手続きで、事業承継で会社を存続させたいときや、オーナーの持つ株式を現金化したいときに向いています。事業承継のM&Aでは約90%がこの方法で行われます。
新株引受
新株引受とは、新規に発行される株式を引き受ける第3者割当増資があります。発行企業(売り手)が既存株主以外に新株を発行し、引受企業(買い手)がその払込を現金で行います。資金は既存株主ではなく、発行企業(売り手)にわたり、資金を経営に有効的に活用することができます。
株主譲渡と比べて、既存株主の持ち分は変動はないため、多くの資金で一定比率の株式を取得し、比率によっては経営権を取得することができます。また、業績不振などから資金注入が必要な場合に利用されることがあり、旧株主の減資手続を絡めて支配権獲得効果を高めることも可能です。
事業譲渡
会社の事業の全部、会社資産の一部または全部を譲渡する方法で、株式譲渡とよく並んで使用されます。ここでいう「事業」とは、動産や不動産だけでなく、その事業に伴う人材、ノウハウ、取引先、債権債務などの事業の目的にために組織的な財産を指します。会社そのものを株主から買い取る株式譲渡とは違い、その会社の特定事業のみを一体として売却します。
買い手側にとっては会社の負債や不要な事業を引き継ぎたくない場合に適しています。この場合株式譲渡と違い、M&Aの対価は売り手企業が現金で受け取ることができます。
合併
2つ以上の会社を1つの法人に経営統合する手法です。1つの会社が他の会社を吸収し合併後も存続する「吸収合併」新たに設立した会社すべてを統合し他の会社は消滅する「新設合併」があります。
日本では事務手続きや企業イメージやブランド維持のため「吸収合併」による合併が多いです。中小企業のM&Aでは、手続きが煩雑なため、利用度は低くなっています。
共同持株会社方式による経営統合
複数の企業が共同で持ち株会社をつくり、その下に各企業が子会社として活動していく手法です。「〇〇ホールディングス」「〇〇グループ」といった会社がそれになります。経営統合のメリットは、会社がそのままの形で残る場合が多く、今まで経営形態やブランドが維持される点にあります。
株式交換・株式移転
売り手企業の既存株主がその保有株式を買い手企業に譲渡し、買い手企業はその他の対価として自社株を割り当てる手法です。株式を受ける企業は現金を必要とせず、対象企業を100%子会社にでき、対象企業のオーナー株主は譲受側の株主としてグループ全体にかかわっていくことが可能といった点に特徴があります。
すでに存在している会社を親会社つするのが「株式交換」で、新たに完全親会社を設立するのが「株式移転」となります。特に「株式移転」は主にホールディングス(持株会社)を設立する際に持ち入れられるスキームですです。
会社分割
事業分離の際の手法として用いられます。会社分割は会社を複数の法人格に分割し、それぞれの法人格に組織・事業・資産を移転させます。分割した事業を新たに設立した会社が引き継ぐ「新設分割」と既存会社が引き継ぐ「吸収分割」があります。会社分割は種類も豊富で手続きも柔軟ですが、その分手続きが複雑な面も多く、中小企業のM&A事業ではあまり活用されません。