具体的な「時価純資産+営業権」での企業評価の算出

evaluation-net-assets M&Aと事業承継

まず、決算書3期分を勘定科目明細とともに準備します。

資産の再評価→勘定科目の残高を構成する資産内容ごとに再時価で評価する。

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「資産」を再評価

現預金
現預金でも再評価が必要なことがあります。
例えば外貨預金については含み益、含み損がある場合があります。

売掛金・受取手形・貸付金
売上債権・貸付金は回収可能性を考慮します。
売掛金、受取手形、貸付金については、実際に現金で回収する可能性を考慮し、回収が難しい場合には、どれくらいの金額で回収できるかを評価します。
税務上の貸し倒れとは違い、現時点の事実をもとに予測することになります。例えば、貸付金に関してすでに退職している社員に対する貸付金で、行方が分からなくなっているものであれば回収の可能性がほとんどないということになります。このような場合、ゼロ評価とすることが考えれられます。

棚卸資産
棚卸資産は「不良在庫」や「売れ残り品」の評価を行います。
決算書上の棚卸資産には、型落ちしている実際には売れないものや、劣化により帳簿価格で売れないものも含まれることがあります。これらの評価は減価を行います。
長期にわたり棚卸資産として計上されているものについて、特に傷がない場合でも販売用途によっては売れる可能性が低いといったものであれば、減価することが必要です。

仮払金
仮払金は内容を精査して、資産性を判断します。
勘定科目や金額が不明の金銭を支払ったものに、それらが確定するまで一時的に使用する勘定科目です。勘定科目の処理がわからないものや、領収書などを紛失したりして会計の処理を先延ばししているものが、仮払払のままになっている場合もあるので、支払った目的に応じて資産や費用に振り替えることが必要です。

土地
土地は時価で評価します。
土地の簿価は取得原価のままになっていることが多いです。その場合、取引事例や公示価格などを利用して現在の時価に修正します。不動産などの資産はこれにより大きく振れ幅が生じるケースがあります。

建物・設備
使用していない動産の評価を減らしたり、減価償却が正確であるか確認が必要です。
建物や設備などの有形固定資産又はソフトウエアなどの無形固定資産については、使用していないものについては評価をゼロにしたり、売却した場合の価格などに減額します。また「黒字目的の償却不足」や「税務上の対策により特別償却」していることもあり、取得時からどうように減価償却しているか確認し、評価をプラスマイナスすることが必要です。

子会社・関連会社
子会社や関連会社がある企業は、別途その子会社や関連会社の再評価を行います。
親会社と比較してあまり重要でない場合はある程度、簿価のままの純資産で評価の手続きを省略することもあります。

投資資産(株式・投資信託・ゴルフ会員権・絵画など)
株式や投資信託、会員権などがあれば、時価に修正します。
修正価格と簿価異なる場合、それらに応じて評価を行います。

保険商品(節税型)
解約金が戻る保険は解約金で評価できます。
節税のために購入されている保険商品は、解約した時点で解約金が戻ってくるものがあります。この場合、評価時点での解約金で評価できます。

為替(デリバティブ)
含み益、含み損を確認します。
大きな含み損を抱えている場合がありますので、時価に評価できる情報から含み益を資産に、含み損を負債として評価します。

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「負債」を再評価

負債についても各勘定科目の負債について修正します。

退職給付引当金・賞与引当金
中小企業の場合、計上されていないケースが多く、従業員が自己都合で退職したと仮定し計上します。

賞与引当金
評価時点で負担する賞与引当金を計上すればよい考えられています。

未払費用
締め日を確認する。費用に関して締め日から残りの分の未払い計上が抜けていれば追加計上します。

金融債務(保証債務)
会社が保証している場合、保証している相手方(被保証)の財務内容がよければ問題ないが、財務内容が悪ければ引当金の計上が必要になる場合があります。

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時価純資産額+営業権「のれん」によって算定する

時価純資産方式で算出された価格は、事業等の一定時点の価値を示し、貸借対照表をもとに評価するため客観性が高いという長所があります。

しかし、過去の価値評価を行っているものの、将来的な価値を評価しにくいといった短所もあります。

そこで「のれん」を計上することで短所を修正することが可能になります。

営業権「のれん」とは

営業利益に又は経常利益の3~5年を加算

過去の実績ベースに算出するため、客観性が高い

営業権は、時価純資産の企業評価に、会社の将来の利益の一部を加算させるものです。

営業権の簡易的な評価方法として、税引き利益の3~5年分を営業権として評価します。

(1年分を算出し、3倍~5倍)

1年分の利益は過去3~5年の実績を遡って平均したり、加重平均することも多いです。

順調に利益が伸びてきている場合は直近の利益を採用すること考えられます。

どのように年数を決めるか?

会社の内容や業種による事業の環境が良い場合は業績の安定が見込めれるので5年とする根拠となりえます。

逆に、流行や、市場に影響されやすい業種などは、業績にも波があるので3年で計算することになります。

年買法とは:将来の収益を年数で乗じた営業権の算出方法

中小企業の営業権の簡易的な評価方法として「年買法」が広く用いられています。

税引後利益の3年~5年分(倍)を営業権のとして評価するものです。

税引後利益は、毎年変動するので、必ずしも直近の利益を用いるのではなく、過去の利益を平均した金額や、加重平均を用いることもあります。

また、毎年増益している場合は、直近の利益を用いることも考えられます。

 

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