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わかりやすくなった、消滅時効に関する見直し。

時間 金融法務(民法改正)

時効消滅とは・・・・

【時効所得】

権利を行使しないまま一定期間が経過した場合に、その権利を消滅させる制度です。

時効中断の意義として、長期間の経過により証拠が紛失したり、自己の有利な事実関係の証明が困難となったな場合などのようなことを救済し、法律関係の安定を図ることがあげられます。

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改正の要点 消滅時効

  • 時効期間をシンプルに統一し、職業別(短期消滅時効、商事消滅時効等の廃止)の見直し
  • 時効の起算点について、主観的起算点と客観的起算点との2本立てに(改正民法166条1項)
  • 時効の中断・停止から「完成猶予」「更新」を整理(改正民法147条、148条等)
  • 仮差押え・仮処分による中断(更新)ができなくなる(改正民法149条)
  • 協議による時効の完成の猶予(改正民法151条)
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時効期間と起算点に関する見直し

複雑でわかりにくいため

職業別の短期消滅時効はすべて廃止

商事時効(5年)の廃止

↓↓↓↓↓

主観的起算点【短期消滅時効の導入】

債権者が権利を行使することができることを知った日から5年が経過した場合に消滅

客観的起算点【客観的時効期間の維持

権利を行使することことができるときから10年が経過した場合に消滅

【改正前】第166条(消滅時効の進行等)
消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
【改正後】第166条(消滅時効の進行等)
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
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「時効の中断」「停止」から「完成猶予」「更新」に整理

時効の中断とは・・・

法定の中断事由があったときに、それまでに経過した時効期間がリセットされ、改めてゼロに起算されること。

時効の停止とは・・・

時効が完成する際に、権利者が時効の中断をすることに障害がある場合に、その障害が消滅した後一定期間が過ぎるまでの間、時効の完成を猶予するもの。

「中断」の制度が複雑でわかりずらく、「停止」についても、中断の見直しとあわせて整理

中断の効果としては「完成の猶予」と「新たな時効の進行(リセット)」の2つがあるが、それぞれの効果の内容も発生時期も異なることから、新たに2つの概念を用いてわかりやすく整理されます。

仮差押え等が時効の「中断」から「完成猶予」へ(改正民法149条)
「仮差押え」及び「仮処分」はこれまで消滅時効の中断(リセット)事由とされていたが(仮差押えの後6ヵ月以内に裁判所の請求を行うことで等で時効の更新が認められ、「仮差押えによる時効中断の効力は、仮差押えの執行保全の効力が存在する間は継続すると解するのが相当」とされる(最高裁H10年11月24日)
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改正の内容(中断・停止概念の整理)

多岐にわたる「中断事由」について、各中断事由にごとにその効果に応じて、「時効の完成を猶予する部分」は完成猶予事由と「新たな時効の進行(リセット)の部分」は更新事由と振り分けられます。

「停止条件」については完成事由となります。

消滅時効の完成猶予(「時効の停止」と同様の効果)

時効の完成を妨げている事由が生じている間(事由が解消されてから一定期間)は時効が完成しません。

消滅時効の更新(現行法の「時効の更新」と同様の効果)

新たな消滅時効期間が開始されます。

承認 → 更新事由(新設第152条)

裁判上の請求など → 完成猶予事由 + 更新事由(新設147条

催告など → 完成猶予事由(新設150条等)

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協議による時効の完成猶予

現行では、当事者が裁判所を介さずに紛争の解決のため協議をし、解決策を模索している場合にも、時効の完成の直前になれば、時効の完成を阻止するため訴訟を提起しなければなりません。

当事者間で債権の存否や額に争いがある事案や権利について協議を行う旨の合意が書面又は電子的記録によってなされた場合には時効の完成が猶予されることになります。

第151条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
権利について協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。
一 その合意があった時から一年を経過した時
二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る)を定めたときは、その期間を経過した時
三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六か月を経過した時
2 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されてなかったとすれば時効の完成すべき時から通じて五年を超えることができない
3 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。
4 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。
5 前項の規定は、第一項第三号の通知について準用する。

ポイント

  • 単なるリスケであれば債務承認を更新することが原則
  • 協議による完成猶予期間中に、再度の合意により完成猶予の延長を行うことも可。
  • 当初の完成予定時から5年を超えることはできません
  • 本制度と催告を重ねて利用することにより、猶予されている期間を延長することはできません。
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